世紀末救世主伝説
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ぼやきの帝国
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独裁国家「ぼやきの帝国」
ソルトルアーの世界には、他と比べて明らかに“違う”男達がいる。それは天才的なアングラーであったり、その時代の常識の1歩先を見極めているアングラーであったりもする。しかしソルトルアーの今の常識が次の時代にも通用するとは限らないのも事実であり、“違う”男達だけが圧倒的な結果を出しているのも事実である。
“独裁国家「ぼやきの帝国」”では、そんな男達の言葉を掲載し、“自分に足りないモノとは何か”を見つけていく教育的ホームページである。(文部省推薦)
キャンベル土浦店、シミズ元店長談
「私はシーバスごときにドラグなんて出さないですよ。力の限り巻くだけです。」ドラグを使わない、数々のランカーシーバスをゲットしている彼は言った。
「ナイロンラインにバーブレスフックでテクニックを鍛える。シーバスならビックミノーだけで十分。」
そう言うと“14cmミノー”を勧めてきた。
「条件が良ければ、80cmUP位なら一晩で3匹は釣りますよ。」
彼の言葉には最初は驚かされるが、やがて実体験にてその理論の正しさに気がつく。その後は自分のドラグをきつく締めてランカーを連発できた。90cmUPのシーバスの口の堅さはよく知っている。フッキングが決まればバレないのも分かった。
波崎町 シーマスター、阿部船長談
ヒラマサをラインブレイクでバラした時の事である。
「何でバラすんだよ!リーダーが抜けたあ!〈怒〉すぐライン組み直せ!〈激怒〉」
阿部船長は熱い男だ。この直後、大きめのヒラマサをゲットできた(1m位)。大型ヒラマサ等の気配のある日のラインは大変重要だ。大抵のアングラーはブレイクにより悔しい思いをする。ジギング歴1年に満たない自分も本当はバラす運命にあったのかもしれないが、阿部船長の熱い(怒りの)声で自分の知ってるラインシステムを完璧に作り上げる事ができた。
「言っただろ!俺がデカイの狙う時はデカイのが来るんだよ!ライン位ちゃんと組んどけ!」
阿部船長はルアーで釣らせる事に一生懸命だ。時にはきつい事も言ってくる。しかし、船頭としてのヤル気が言葉から伝わってくるような気がする...。
キャンベル土浦店、シミズ元店長談
「私はタックルにはあまりお金をかけないですよ。そんなお金があれば船代にしますよ。」
彼はルアーショップの店長なのにこんな話をしてきた。当時、ジギングを始めたばかりの自分には“高いタックル=良いタックル”だと思い、タックルにお金をかけるのが結果を出す為の近道だと信じていた。2000年、1月のことである。「ダイコーのサザンクロスにPENN8500、これが使い易いですね。その他にはスミスのWRC−20ポンドですね、バットにトルクがあって。」
この時はサザンクロスは安物でPENN8500はやりすぎ、PENN6500でも水深40m位だから十分だろうと思った。
「最近のロッドは腰が抜けていてダメ、曲がりの強度があっても基本的にブランクの太さが足りないからトルクがない。」
彼はそう言った。とりあえずスミスのWRC−20ポンドにPENN8500を最初の入門用のタックルとして買ってみた。ターゲットは茨城沖のイナダである。(今にして思えば入門用?)
使い続けると素晴らしく良い。ヒラマサ用の70ポンドリーダーも10m以上が普通に入るし、遠征用のPE5号も300m入る。1〜2kgのイナダにも使い易く、テクニックが上達しても十分に対応できるタックルだ。彼の言葉が後になって理解できた。サザンクロスも手に入れた。
「最近のアングラーはPENNは使わないんですよね...。」
彼が寂しそうに言っていたのを思い出した。
波崎町 シーマスター、阿部船長談
1月、この日のイナダゲームは苦戦中だ。まだ4本しかゲットしていない。となりのアングラーがメタルジグを交換しようとした時に阿部船長が言ってきた。
「ジグ交換しても何も変わらねーよ!テクニックで食わせるんだ!何色だろうが食う時は食うんだよ!朝にジグ付けたら帰りまでシャクる!それでいいじゃねえか!」
今の時代は様々なアクション、色のメタルジグが開発されている。ルアーローテーションは大事だ、と言うアングラーもいる。しかし、かなりの実力者であるシミズさんも一日中同じジグを使っている。自分も一日中ブランカだ。
「タックルじゃない!ジグでもない!テクニックで釣るんだ!」
阿部船長は“言い訳をつくるな、どんな状況でも自分を磨け!”と言っているに違いない...。
キャンベル土浦店、シミズ元店長談、阿部船長談
「最近は、魚をかけても“遊ぶ”アングラーが多い。私ならカツオはフッキングから10秒、10kg以下のヒラマサなら2分でとりますよ。」
そう言いながらシミズさんはギンバルベルトを使ったやりとりを教えてくれた。「大型のターゲットの堅い口をフッキングさせるには、タックルを脇に抱えてジャークしていたら、ほら...うっ(ぴくぴく)」
そう言いながら今度は船上でよく見る“下を向いたロッドを持ち上げられない”アングラーの情けない姿を真似して見せてくれた。
「これからは近海でもギンバルベルトは必需品ですね。」
自分もパッドを使い始めたが大型とのやりとりが大変楽になった。そして以前、シミズさんがカンパチを40匹以上連発している時のことを思い出した。その日はイナダ、ワラサ、カンパチが入れ食いだったが、彼はカンパチだけを連発し、それを見ていた阿部船長が言ってきた。
「シミズ君、ワラサでてるよ。狙いなよ。」
シミズさんの答えは...。
「え〜、だってカンパチの方がうまいでしょう、今日はカンパチ狙いかな。」
そう言うと大型のスピニング(トーナメント6000)をスーパーハイスピードで巻きながらギンバルベルトを使い、ワンピッチのショートジャークを繰り返している。水深40mを10秒未満でシャクる、すごい速さだ、人間技ではない。
「お前はサイボーグか。」
阿部船長は笑いながら言った。
よく見ているとカンパチは彼に必ず最初にバイトする、遅れて周りにバイトする、群を引き寄せているのは間違いない。自分もサイボーグになろうと思った。
那珂川河口、シーバスのスー(自談)
水戸へ用があって、帰りに那珂川河口を見に立ち寄った時の事である。東京方面からはるばる遠征してきたアングラー二人組が話しかけてきた。内容は大型シーバスで有名な那珂川へ初めて来た事と、東京湾奥では70cmUPで堂々と新聞に掲載される事である。自分は遠征組には敬意を払う。なぜなら自分の好きな那珂川まではるばる来てくれた事と、大抵の場合は地元のローカルアングラーに有名ポイントは占領されている中での釣行で苦戦をしている事が多い為である。この二人のアングラーには自分の情報を提供する事にした、心の交流である、最大限の敬意を払って...。
貴重な情報を提供した。
「ぷぷっ!(笑)70cmUPで新聞に!そんな大きさ、那珂川では笑われっちゃいますよ!がははは!(大笑)」
重要な情報も提供した。
「那珂川では90cmUPでないと“ランカー”とは言わないですよ!(笑)。80cm以下は写真も撮らないよ!がははは!(大笑)」
普通の情報をも提供した。
「今年の写真帳、見せてあげますよ。シーバスなら95cm、ヒラメなら75cmと73cm、シャケなら70cm、友達らは80cmか。」
その後、自分にはどうでもよい事だが、どこか良いポイントを教えてほしいと頼まれたので、メーターオーバーの実績が多数のポイントまで案内した。心の交流ができた。自分もいつかは遠征に行くことがあるだろう。その時は地元のアングラーとどんな交流ができるのだろうか...。
とある本にて、“チャーマス北村さん”“パパ大津留さん”
この二人が同じ船に乗って、ジギングについて語っている本を読んだ。二人は昔からの親友であるという。その中でタックルについて語っている記事に感心した。“パパ大津留さん”はなんと4ポンドのロッドに200gのジグ、大型ベイトリール(多分マーフィックス)でやっている。彼は、今回想定する大型のサイズなら4ポンドのロッドで十分いけると判断している。“パパ大津留さん”は別の雑誌でも疲れの少ないショートタックルを紹介していた。
“チャーマス北村さん”はロングロッド(キャスティング対応)に大型スピニングリール(サファリ)、200gのジグだ。彼の場合は、この海域に潜むどんなモンスターにも対応できるパワーのあるタックルで、突然のマグロ類のナブラにもキャストできるロッドを使用している。そのすごさは普段のジギングもこのタックルだという事だ。
“チャーマス北村さん”と“パパ大津留さん”、二人のスタイルはまるで正反対なのだが、特に“チャーマス北村さん”の考え方には感心させられた。
「“10kg”のターゲットを狙うなら、“10kg”用のタックルで狙えよ。いくらでも釣れる2kg位の“子ども”を数釣ってたらそのうち“10kg”がでるなんて思っていたら大間違いだ。そんなヤツは結局、数釣りやって終わっちまうのさ。」“チャーマス北村さん”のタックルボックスには大型マグロ用のペンシルやらミノーが常備されている。彼のタックル、考え方は例えるなら旧海軍の戦艦の主砲だ。海域のあらゆるターゲットを一撃でしとめる為に備え付けられているのだ。比べてみると“パパ大津留さん”のタックル、考え方は巡洋艦の速射砲みたいなモノか。それでも自分はまだ駆逐艦以下だと思うのである。釣友の山さんは浮き輪の遭難者か...。(...それ船じゃねえぞ)
無題、(冬)
真冬の那珂川は寒さがつらい。SICのガイドも凍結し、気力も凍えがちになるがシーバスは元気だ。12月末でも70cm前後ならフローティングで釣れている。1月中までは少々苦戦するが2月中旬には新しいシーバスシーズンの到来である。夜のオリオン座が大きく移動する...東から西へ...夜空のショーはロッドを振っている間、ずっと続く...。友人達が真冬の那珂川で何を見て何を感じているのかは分からないが、自分はその間に夢を見よう。終わりのない旅の終わりに、アングラー達は一体何を見るのだろうか...。
「(上記)...って、考えごとをしてたんだ。居眠りぶっこいてた訳じゃない。」今日もワゴン車を出して運転してくれている山さんに言い訳をする。自宅から那珂川までは距離40km、1時間。しかし実際の体感時間は5分〜6分か...。距離40kmとは以外と近いものだ...。
波崎町 シーマスター、阿部船長談
ある時、阿部船長にカツオの狙い方を教えてもらった。
「カツオを釣るにはリールはステラの16000Hか10000Hだな。」
「ナブラにジグをキャストして、着水と同時に真っ直ぐジグを引く、その時のスピードが重要だ。リールはビッグステラのハイギア仕様だな。」
本当かよ...と思った。
「カツオ用の“東洋丸(現 征海丸)スペシャルジグ”を開発中だ。夏には出来上がるよ。」
そう言ってプロトタイプを見せてくれた。確かにこれは釣れそうだ。
「今度、ジグを流してトローリングやらせてやるよ。楽しみにしていなよ。」
話がだんだん漁師的になってきた...。
「キャスティングをやるにはアンダーキャストを絶対に覚えろ。ナブラまで届かない、なんて事は無しだからな。」
おそらく70mは飛ばさないとミヨシから降ろされるのだろう。実際そういう光景を何度か見てきた...。カツオ用には“サファリとWRC76”を買った。
このルアー船のカツオ漁は毎年熱いらしい。波崎沖のカツオゲームは4月後半からが本番だ。北へ向かう全てのカツオがここを通過する。カツオを追ってルアー船も疾走し、沖での移動距離も長くなる。各ルアー船の船長達の技量が問われる釣りになるが、阿部船長はカツオゲームの達人だ。
「カツオの群にポッパーをキャストするとカツオの血圧があがり、活性が上がるんだ!ポッパーはカツオにとって“栄養ドリンク”みたいなモノなんだ!」
そんな裏技も教えてくれた。
那珂湊港、早春のアングラー
早春の那珂湊港にて、トラウトタックルでエコギアのシラスをぴくぴくさせているアングラーに出会った。見るとドンコを釣っているではないか。おまけに写真までパシャリと撮り、記録を残している。こちらはシーバスアンドオデコの帰りだ。何が釣れているのかとりあえず聞いてみた。
「シーバスなら最大50cm位、クロソイなら45cm、他にはドンコやメバルが次々とヒットしてきます。面白いですよ。(笑顔)」
とてもさわやかなアングラーだ。話を聞くと一年中、ブラックバスや夜の漁港でのライトゲームを楽しんでいるらしい。
「ドンコでもなかなか引きの強さは楽しめますよ。(笑顔)」
...自分や山さんのように頭の中の血流まで月の引力に引っ張られる男とは明らかに違う(この現象をシーバス用語でTR−V/H、タイドラッシュバーチカルヘッドと言う)、新鮮な風のようなモノをこのアングラーからは感じた...。
帰りの車の中で山さんと“釣り”とは何かを考えさせられた。楽しむ為の手段が“釣り”なのである。二人で今回の“風のような早春のアングラー”に名前を付ける事にした。尊敬と親しみを込めて...。
「“ドンカー”。(笑顔)」
波崎町 シーマスター、阿部船長談
ある居酒屋で阿部船長と一緒の席になり、以前にカンパチを船中400匹以上ゲットしたときの話を聞かせてもらった。
「その日はデッキがカンパチだらけになり、シミズ君は一人で90匹以上、カンパチを釣ったんだ。当然、休憩なんて無しだ。体力の限界までシャクらせたよ。」
(生ビール(中))
「そしたらよ、シミズ君が“サイボーグ”みたいな動きになって連発するんだよ。しかも水深40mでバイトしたカンパチを10秒位でデッキまで引きずり上げるものだから、カンパチがデッキの上でみんな気絶してるんだよ。(大笑)」
(生ビール(中)再、鍋物)
「それともう一人、あだ名が“マシーン”って言うヤツが居てよ、そいつの動きが本当に“マシーン”なんだよ。(笑)」
(焼酎、唐揚げ)
...自分もいつの日かあだ名が付けられてしまうのだろうか。
那珂川某所、アングラー木村さん
200X年3月初旬、那珂川某所で非常にハイレベルなアングラーに出会った。そのアングラーが話の中で教えてくれた情報が特にすごいと思った。この時期の目の前のポイントのシーバスの回遊コースや最新の情報、近年の何月何日何時にどんな人がどんなルアーでどのレンジでどの角度でランカーを釣ったのか正確に教えてくれた。1mオーバーの情報もルアー、餌釣り問わず確認していて彼自身の経験と整合がとれているのかを常に考えてシーバスの回遊する時期やレンジを立体的に完全に把握しているようだ。今年のシーバスは3月初旬で既に35本はキャッチしているという。一方、自分の情報は断片的にどこで何日ごろ釣れたらしい、という程度のものだ。当然、ミノーなのかバイブなのか分からないし正確かどうかも自分の経験からは判断出来ない為、踊らされる事もしばしばある。
「あそこから根が連続してあり、その付近をバイブレーションで攻めるのがこの時期の、ここの狙い方だ。」
Fミノーしかキャストしない自分には、根が連続している事さえ気が付かなかったポイントだ。
「以前、地元のある男にいろいろと指導したら次の日から連日、仲間達を引き連れてポイントを占領されてしまったよ。俺が年月をかけて開拓してきたポイントをだ。」
そうつぶやいた彼の自宅はこのポイントから片道80kmも離れているとの事だ。自分も片道40kmなのでその無念さが理解できる。今回のポイントは公開出来ないと思った。
「実は俺、フライマンなんだ。アングリング誌のライター達とも交流があるよ。たが今はシーバスを狙っている、とびっきりでかいヤツをだ。95cm以下なら写真も撮らないよ。」
自分が以前言っていた同じようなセリフ(80cm以下なら〜)を言われてしまったが彼の実力なら納得できる。