世紀末救世主伝説 |
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北東の拳 第1部 目次 第1話|第2話|第3-4話|第5-6話|第7-8話|第9話
第2話 『てめーらの血は何色だ』編 山さん登場
1998年、12月下旬ごろ(茨城県常陸那珂港北堤)
俺は今、また夜の北堤にいる。このポイントはシーバスが毎晩回遊し、慢性的な寝不足で俺の身体を蝕んでいる。そんな先天的体調不良を払拭するような怒りの出来事がおきた。午後7時30分、同釣者の山さんがヒラメをゲットしたのである。しかも65センチの大物!アスリートF12RHで釣り上げたようだ...。
ここで話は2週間前からにさかのぼる。そのヒラメは2キロ先の東海村原子力発電所前の堤防にいた...。
「急げ!ケン!ユリア!もうすぐ死の灰を含んだ廃液が流入するぞ!早くシェルターへ!ハッ!(ヒラメ語、兄)」
その時、無情にもシェルターはほぼ満員に近く...。
「すみません...子供達がいるんです...あと2匹分しか空席がありません!早く!(マダイ語)」
「.....!(ヒラメ語、兄)」
その兄ヒラメは...少しの間をおいて弟達をシェルターへ押し込んだ...。
「トキ兄さーーーーーーん!(ヒラメ語、弟)」
弟ヒラメの涙声がシェルターにむなしく響いた...。
そして一週間後、シェルターを出た魚達が見たのは扉の前でボロボロになった兄ヒラメであった...。兄ヒラメは言った「残された余生は病に苦しむ魚達のために生きる..」。
そしてボロボロの体で餌を取れず、やむをえず夜間に捕食を試みるが失敗の連続で1週間後、ようやくにして餌にありつけたと思ったがプラスチックのミノーだったのだ...。
俺はそんな兄ヒラメを釣り上げた山さんが許せなく、堤防上で叫んだ!『てめーらの血は何色だーーーーっ!』...。
その後は俺も62センチのヒラメをゲットして2匹は自宅にて俺の腹に収まった。