世紀末救世主伝説 |
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北東の拳 第1部 目次 第1話|第2話|第3-4話|第5-6話|第7-8話|第9話
第7話 『俺の名は』編 名も無き修羅、二人
1999年、5月中旬ごろ(茨城県那珂川)
ついにきた、那珂川エリア。ある者は1mオーバーをゲットし、地位と名声を得て、またある者は志半ばで去っていく...。
このエリアはとても懐かしい...そう、俺はここからルアーを始めたのだ。だがそれは生まれてすぐの話...実績はない。名も無き修羅、俺の新たな挑戦がこの日から始まる。
俺は高台に立っていた。5月中旬、この年の那珂川初日である。あそこにするか...。河口エリアのとあるポイントに入る。経験は積んできた。キャストを繰り返すと最初のバイトはすぐにきた。だが、アタリがデカすぎる!
「奥義!無双転生!」
むなしく声が響く...シーバスの魂の叫びが聞こえた、「お前の拳は俺には効かぬわ!ハハーッ!(シーバス語)」...帝星を宿星にしているお方のようなので、山さんをすぐに呼んだ。ようやく寄せてハンドランディングしてもらうと95センチの大物だった。自分の名が与えられた瞬間だ。俺は言った。『おれの名をいってみろ...』。
(その後、月刊誌 ルアー情報への掲載等もあり那珂川でも少し名が知れたようだ)
第8話 『悪党に墓標はいらぬ』編 真のアングラーはそこにいる、の章
2000年、10月ごろ(茨城県那珂川)
この月は、大型シーバスが回遊した。最大90センチ、最小71センチ、合計4本。だが今一つ、充実感がない。なぜなら俺は、1年近くの那珂川エリアの釣行でまた“自分の世界の釣り”を形成していたのである。それはぬるま湯に入ったような、簡単に釣果のあがる、そんな平和な世界だ。
だが世紀末、そんな平和は長くはつづくわけはなかった。釣友の清水さんにジギングの世界へ引き込まれたのだ。新たな「修羅の国」へ...。大変ありがたい、またイバラの道が用意された。俺の目には明確な夢が出来た、それは茨城県内のランカーヒラマサ10kgオーバーだ。この時から、長年一緒に死線をくぐり抜けてきた山さんと微妙にタモトを分かつこととなった。彼は1mオーバーのシーバスを狙うという。俺はヒラマサだ。...真のアングラーはいったいどっちだ...。
那珂川の河口に俺の墓標を建てることにした。
“シーバスのスー、河を去る。いつかまた...”。
山さんは言った、『悪党に墓標はいらぬ』と...。(こいつ本当に友達かよ)